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土壌環境保全のための化学物質に対するシマミミズの急性毒性 |
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土壌に直接散布されることの多い農薬、地盤改良材、融雪剤等の化学物質に対し、人工土壌を用いたシマミミズの急性毒性試験を行い半数致死濃度LC50を明らかにすることで、土壌生物への影響に関する情報蓄積、土壌環境保全に役立てる。 |
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背景と目的 |
人に対する潜在的な危険性を明らかにするためにも化学物質が及ぼす環境や生物に対する毒性影響などの基本的な情報の収集が必要である。OECD では陸域を汚染する化学物質が生態系に及ぼす影響として、シマミミズEisenia fetidaを用いる急性毒性試験TG207を整備しており、土壌動物への環境影響を評価することの重要性も認識されている。しかし、その危険性が認識されている割には、水生生物の試験と較べ土壌生物試験の実績は少ない。 本研究の目的は、土壌に直接散布されることの多い薬剤に対し、人工土壌を用いたシマミミズの急性毒性試験を行い半数致死濃度LC50を測定すること、そして実際の薬剤使用量を想定し土壌内の薬剤濃度をLC50と比較することで、その影響について明らかにすることである。 |
分類 | ツリミミズ科Family Lumbricidaeシマミミズ属Eisenai |
生息環境 | 堆肥・厨芥置場、森林、庭園、落葉・朽木など有機物の多いところ、人為的な影響の強いところに広く分布する。しかし、草地、原野などにはほとんど生息しない。 |
生態 | 5.6℃以下では発育生育しない。ごみ捨て場(厨芥のコンポスト)、堆肥の中などに生息するものは、発酵熱で保たれた環境の中で年中繁殖している。 |
特徴@ | 厨芥のコンポストで利用される |
特徴A | 陸域を汚染する化学物質の試験生物となっている。 急性試験(Test Guideline 207 (1984)) 繁殖試験(Test Guideline 222(2004))
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TG 207では、急性毒性について濾紙接触毒性試験と人工土壌試験の2 法が記載されている。表-1にミミズ急性毒性試験の方を示す。濾紙接触毒性試験は、簡易な方法で再現性が良く、土壌中におけるミミズの毒性を明らかにするためのスクリーニングに有用な試験法である。人工土壌試験は、自然界での曝露を反映した毒性データを得ることができる。本研究では人工土壌試験をTG 207の試験法に準じ、生態影響試験ハンドブック(日本環境毒性学会編)を参考にして実施する。
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対象化学物質 |
農薬:スミチオン乳剤 地盤改良材:普通ポルトランドセメント 融雪剤・凍結防止剤(防塵剤):塩化ナトリウム、塩化カルシム等 |
学術研究活動助成事業補助金 公益財団法人木下記念事業団 | 防塵剤および融雪剤・凍結防止剤が土壌生物に与える影響の評価 | H31 |
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